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濟民
松井勘兵衛翁碑
●●白寛文九年酉年生知行八十石依三
原新田開墾之功更加増五十石享保九年
七月二十七日卒行年五十六
大正四年歳在乙夘一月
半佛光人滑川通原書
大正五年十一月三日
松井勘兵衛翁顕彰碑
（裏面）
延宝ノ頃 朝倉川沿岸ノ関根ヨリ杉目上境ノ地ハ雑草繁
蓋シ三ヵ村ノ草刈リ場ニスギズ 松井翁ハ此ノ広大ナル
地ヲ開墾シ農業ヲ興サント決意シ地頭吉沢氏ニ進言ス
地頭此ノ工事ハ巨費ヲ要シ若シ成功セザル時ハ莫大ナル
損失ヲ蒙ルノミト諭サル 翁遺憾措ク能ハズ 初願ヲ達
セントノ意強固ニシテ再参コレヲ地頭ニ請ウ 地頭ソノ
熱誠ニ感動シコレヲ郡奉行ニ上申セシガ許サレズ 地頭
ハ若シ工成ラザレバ割腹シテ謝罪セント漸ク許サル 翁
我ハ磔刑ニ処セラルルモ悔ナシト ココニ翁率先原頭ニ
立チ決意ヲ表シ私財ヲ投ジテ工ヲ起シ寝食ヲ惜シミテ励
ム 新田稍成リ用水堰ヲ通サントセシガ水到ラズ 翁七
日七夜七面神社ニ参籠祈願シ霊夢ヲ得テ新ニ水路ヲ開ク
ニ水大イニ到ル翁ノ素志遂ニ達シ美田ヲ拓クヲ得タリ
翁ソノ功ニヨリ辛労免高ヲ賜リ三原村肝煎トセラル
享保七年正月二十五日寿八十余歳ニテ歿ス
松井勘兵衛翁之歌
作詞 土井晩翠
作曲 楠美恩三郎
一．朝倉川の岸の上に
むぐらの茂り合ふほとり
民のためとて開拓の
業にいそしむ彼や唯ぞ
二．嗚呼彼壮士名は松井
業成らざれば死なんのみ
「身の果かく」と磔刑の
柱を立てて雄叫びぬ
三．春また秋の幾かへり
辛苦は山と積れども
拓きし田には水なくて
柱さびしく月さえぬ
四．蹉跎にいよいよ奮ひ立ち
気は金石を貫きて
祈る誠や神うけし
霊夢になれる三原堰
五．今も関根の風そよぐ
田の面八千穂の金色の
実り壮士の功しを
伝ふ千歳の末遠く
平成四年十一月一日
明治三十二年朝倉村誕生
上寿、昭和八年横手町へ
合併還暦（六十周年）
メモリアルフェア実行委員会建立
題字 内藤舜悦書
碑文歌詞 菊池武嗣書
碑文 高橋俊男撰
注）土井晩翠1952年没、死後50年以上経過
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