瀬田川洗堰

Go Index Go River 淀川に戻る 宇治川に戻る 瀬田川に戻る Last update 2003/03/23






瀬田川洗堰
昭和36年3月竣功
建設省





















瀬田川洗堰のあらまし
 この洗堰は、120m上流に一部残されている旧洗堰(南郷洗堰と呼ばれていた)にかわる2代目のものです。
 琵琶湖に流入する河川は一級河川で約120本ありますが、琵琶湖から流出する河川はこの瀬田川だけです。しかも昔の瀬田川の川巾は狭く、水深も浅い状態でしたので水はけも良くありませんでした。このため、大雨が降ると琵琶湖の水位は高くなり、湖周辺が浸水し平水にもどるには何ヶ月もかかりました。このような湖周辺の浸水被害が連年のように生じました。この被害を除くには、瀬田川を広く深く掘って水が多く流れるようにして、琵琶湖の水位を早く下げる必要があります。湖周辺の人々にとって、瀬田川の浚渫はまさに悲願であり、江戸時代から幾度となく人力による「瀬田川の川浚え」が行われてきました。しかしながら、瀬田川浚渫が進むと雨が降らないときにも琵琶湖から無駄な水が流れ、琵琶湖の水位が下がりすぎて困ります。洪水時には、琵琶湖の浸水被害を防ぎ、下流にも被害を与えないことが必要です。平常時には湖周辺の人々が湖水を利用するのに適当な水位を保つことと、下流でも水道用水・工業用水・農業用水や発電用水として利用するため、適当な水量を流すことが必要です。
 明治時代の「淀川改良工事」において、治水と利水の2つの目的をうまく調節するため、機械力を導入した瀬田川の浚渫と、琵琶湖の放流量を合理的に調節する南郷洗堰が設置されました。洗堰の設置によって、始めて大規模な瀬田川浚渫が可能となり、その後も下流の河川改修に合わせて浚渫が実施され、瀬田川の水はけは順次改善されてきました。旧洗堰は構造上の不安はありませんでしたが、操作が人力で時間がかかりすぎるため、新しい洗堰に作り替えられ瀬田川洗堰となったものです。工事は昭和32年10月に着手し、4億6,500万円をかけて、昭和36年3月に完成しました。
 堰は鉄筋コンクリート造りで、水の流れる1門の幅は10.8mで合計10門あります。ゲート構造は鋼製2段引上扉、溢流式になっています。ゲートの操作は、琵琶湖工事事務所からの遠隔操作で、平常時は下段ゲートを敷につけ、上段ゲートを上下させて放流量を調節していますが、非常時には全開・全閉が30分でできる能力をもっています。瀬田川洗堰は琵琶湖及び下流の洪水や渇水被害を軽減し近畿地方の発展に大きく貢献している重要な施設です。
 国土交通省 琵琶湖工事事務所

南郷洗堰が出来るまでは、2mをこす洪水がありましたが、出来てからは、洗堰の人工的な放流量の調節と度重なる瀬田川浚渫により、そのような洪水はなくなりました。


バイパス水路



上流側制水ゲート

流量調節ゲート
純径間15.0m

流量調節ゲート
純径間5.0m

水力発電設備
琵琶湖総合開発の一環で設けられたバイパス水路には、水の有効利用を目的に水力発電設備が設置されています。
この水力発電設備は、洗堰の上下流の落差を利用し水車を回転させ発電する全国的にもまずらしい「低落差小水量の高効率発電設備」で、洪水時を除き、常時バイパス水路の放流設備の一部として運転されています。
発電された電力は全てアクア琵琶に供給され、曝気噴水、本館の冷暖房、館内照明及び庭園照明等に使用されています。

水力発電設備諸元
水車形式:横軸S型チュープラ水車
基準有効落差:3.0m(最大落差3.8m)
基準水車出力:50kw(最大出力66kw)
基準使用水量2m3/s
水車回転数:400rpm
最大水車効率:84.3%
発電機出力:70kva


堰の諸元




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