雲仙普賢岳噴火災害

日本の川と災害 > 日本の災害 > 雲仙岳噴火災害  Last update 2007/09/16



雲仙普賢岳(平成11年6月撮影)

 雲仙普賢岳は、平成2年11月17日 198年ぶりに噴火、まもなく活動は低下したが、平成3年2月12日再び噴火が始まり、5月15日には水無川で最初の土石流が発生した。
 溶岩ドームは5月20に出現し、5月26日、6月3日には火砕流により死傷者、行方不明者が発生した。6月7日には島原市の一部、8日には深江町の一部で警戒区域が設定され、以降順次拡大された。
 平成3年6月3日の大火砕流による死傷者の発生のほか、堆積した大量の火山灰により土石流の発生しやすい状態となっており、平成5年には水無川から溢れ出た土砂によって大きな被害を受けた。
山体には約2億立方メートルの土砂が堆積しており、降雨の状況によっては現在も大規模な土石流発生の危険がある。

経緯

H2.11.17九十九島火口、地獄跡火口から噴火
H3. 3.29九十九島火口、地獄跡、屏風岩の三火口から同時噴火から噴火
H3. 5.20溶岩ドーム出現
H3. 5.24初めての火砕流発生、東側に流下
H3. 6. 316:08頃大規模火砕流発生、死者行方不明者43名
H3. 6. 819:51頃大規模火砕流発生
H3. 6.30水無川、湯江川、土黒川で土石流発生
H3. 9.1518:42,18:45大規模火砕流発生
H5. 4.28水無川、中尾川に土石流発生
H5. 5.20-23中尾川方向に火砕流発生
H5. 6.18-19水無川、中尾川に土石流発生、水無川橋流失
H5. 6.23-14中尾川方向に火砕流発生死者1名
H5. 6.26水無川方向の火砕流国道57号まで到達
H5. 7. 4水無川、中尾川で土石流発生
H5. 7.19水無川で大規模火砕流発生
H6. 2. 6初めて湯江川方向に火砕流発生
H7. 3.30九州大学理学部付属島原地震火山観測所が普賢岳の噴火活動ほぼ停止と表明
H7. 5. 25火山噴火予知連絡会がマグマの供給と噴火活動はほぼ停止状態にあるという統一見解を発表
H8. 2.10-13水無川で約1年振りに火砕流発生
H8. 3.26長崎県による水無川災害復旧助成事業完成
H8. 6.17-18水無川、中尾川で土石流発生
H9. 4. 1不通となっていた島原鉄道全線開通
H10. 2.19水無川1号砂防ダム完成

火砕流による被害

発生年月 日死 者行方不明負傷者住家全壊,一部損壊
平成3年(1991)5/26
平成3年(1991)6/ 34049
平成3年(1991)6/ 872
平成3年(1991)9/1553
平成4年(1992)8/ 8
平成5年(1993)6/23-2492
合 計4110271

土石流等による被害

発生年月 日負傷者住家全壊住家半壊一部損壊床上浸水床下浸水
平成3年(1991)6/30492121
平成4年(1992)8/8-152823105053
平成5年(1993)4/28-5/220832105963
平成5年(1993)6/12-161616
平成5年(1993)6/18-1983111517
平成5年(1993)6/22-232511
平成5年(1993)7/4-5
平成5年(1993)7/16-181529
平成5年(1993)8/19-2026135
合 計41910755188348

被害状況

水無川土石流被害家屋水無川からあふれた土石流による家屋の被害状況


水無川土石流被害家屋被災家屋保存公園で保存されている土石流による被災家屋


水無川土石流被害家屋

水無川土石流被害家屋

保存されることとなった深江町大野木場小学校


復旧状況

中尾川

河口部は被災後中小河川改修事業により採択された


国道251号、島原鉄道の橋梁架替が必要となる大規模な事業となっている


中尾川上流


水無川1水無川

中小河川改修事業により治水対策は完了していたが、普賢岳噴火後に発生した土石流により埋塞し、周辺の家屋、農地等、水無川に架かる橋の流失など大きな被害となった。
このため、河川災害復旧助成事業として採択された。


水無川2埋塞した土砂の除去に加えて河床の掘削、護岸の嵩上げ等により河積の拡大を図っている。中段の中小河川改修の護岸から下への掘削と上部への築堤を行った。
その名の通り通常は水無し川


水無川流路工から水無川への入り口
国道57号橋梁下


水無川流路工と水無川との分流部
撮影時(1998/02/10)はまだ旧水無川の護岸が残されている。水理模型実験により分流点の構造は決定される。


導流堤


水無川1号砂防ダム
両側は土で覆われ植樹されている



水無川1号砂防ダムを下流から見る


水無川1号砂防ダムを上流から見る
計画貯砂量約100万m3

無人化施工による水無川2号砂防ダムのRCC工法施工状況

堤高      14.5m
本体堤長  446.0m
計画貯砂量 71.2万m3


無人化機械の操作室


火砕流の危険地域では無人化施工を行っており、遠隔操作で重機を動かしている。

工事事務所防災室雲仙復興工事事務所情報管理室
高感度カラーカメラ、スターライトスコープ(高感度白黒カメラ)、赤外線カメラ、遠赤外線カメラが光ファイバーケーブルで結ばれているワイヤーセンサー、小型レーダー雨量計、テレメーター雨量計、地震計のデータ等の情報を総合的に監視


固定監視カメラ移動監視カメラ

左:固定監視カメラ、右:移動監視カメラ
光ファイバーで工事事務所に動画を送る。


Link


参考文献等


関係機関


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